こんにちは.小夜貫です.
〚魔術理論の為の物理学〛シリーズ,数学編第二回です!
前回は一重和と多重和をやりました.学習当時こそ色々こんがらがっていましたが,ブログを書いているうちに整理されてきまして,始めた価値あったかなと思っています!皆さんも楽しんでいただけたでしょうか.
さて,今回はクロネッカーのデルタをやっていきます.クロネッカー…….クロワッサンみたいですね.一体どんな内容なのか.(すっとぼけ)
これが終われば,テキストはいよいよ本格的なところに入っていきます.ワクワクです!
それでは,本編になります!
クロネッカーのデルタは, $i, j$ それぞれを正の自然数 $1, 2, \dots$ とするとき,以下のように定義されます.
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{i,j}=
\left\{
\begin{array}{ll}
1 & i=j \\
0 & i \neq j
\end{array}
\right.
\end{split}
\end{equation}
$$
どういうことを表しているかというと,「 $i = j$ の時は, $\delta_{i,j} = 1$ , $i \neq j$ の時は $\delta_{i,j} = 0$ になるよ.」ということです.つまり,「 $i$ と $j$ が等しい時には $1$ を,等しくないときには $0$ を導くよ.」ということですね.
ちなみに,管理人は $\delta_{i,j}$ も一つの記号だと思ってます.前回の記事の $a_{i,j}$ と同じですね. $\delta_{i,j}$ の中に計算式が含まれているとかいうことはないでしょう.
$\delta_{i,j}$ というのは,数列 $\delta$ の $i$ 番目と $j$ 番目という意味も持っているのでしょうか.表記の仕方が項の表現と大分似ているというかそのままというか…….個人的には違うに一票ですが…….どうなんだろう.
さて,クロネッカーがデルタに関わる性質には以下があるようです(メインテキスト参考).
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{i = 1}^M \delta_{i,j} a_{i} =
\left\{
\begin{array}{ll}
a_{j} & 1\leq j\leq M\\
0 & j>M
\end{array}
\right.
\end{split}
\end{equation}
$$
こちら,複雑ですよね.では,以下で詳しく解説してみます.
問題の式を見たとき,「あれ, $=a_j$ ってどういうこと? そこ, $1$ が入るんじゃなかった?」と,思われた方もいるかもしれません.しかし,問題の式には $\delta_{i,j}$ 以外にも $\Sigma$ とか入ってましたよね.つまり,計算の中に $\delta_{i,j}$ を含んだ式,ということになります.なので, $1$ 以外でも入れるのです.具体的には, $\delta_{i,j} * 3$ の時, $i = j$ でしたら答えは $3$ になります.
右辺はよいとして,問題は左辺ですよね(ちなみに,右辺の $\leq$ は $\leqq $ と同義です.同様に, $\geq $ と $\geqq $ も同義です).
さて,シグマ計算の読み方については前回記事で解説してみました.軽く復習を兼ねて解説しますと,(2)では,まず $i$ に $1$ ~ $M$ までの値を代入することになります.
問題は次ですよね.管理人も読解に時間を要しました.
抜き出して書くとこちら.
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{i,j} a_i
\end{split}
\end{equation}
$$
まず, $a_i$ は前回記事の通り,数列 $a$ の $i$ 番目の項でした.
※こちら第一回記事の復習になります. $a_i$ のことは分かってるよ! という読者様は読み飛ばしていただいて大丈夫です※
「$a_i$ は,数列 $a$ の $i$ 番目の項」について,まず, $a=2, 4, 6, \ldots,$ という数列がある時, $2$ や $4$ や $8$ や $46$ や $238$ などなどといった,数列におけるそれぞれの値一つ一つが「項」と呼ばれます.
また, $i$ 番目というのは,数列を左から数えて $i$ 番目ということです.ただ,左とはどこのことなのか,疑問・曖昧に感じる方もいらっしゃるかも分かりませんが,同感の管理人なので,そのあたりの考えは述べられません.申し訳ないです.例を続けるなら, $i=1$ なら $2,$ $i=5$ なら $10$ という具合です.
しかし, $\delta_{i,j}$ などというときには,クロネッカーのデルタという定義が当て嵌められるのでした.
従って, $i$ と $j$ の値が揃えば, $\delta_{i,j} = 1$ となり, $\delta_{i,j}$ からは $1$ が,揃わなければ $\delta_{i,j} = 0$ となり $\delta_{i,j}$ からは $0$ が導かれます.具体的には, $\delta_{1,1}$ の時は $1,$ $\delta_{2,3}$ の時は $0$ という具合です.
続いて, $\delta_{i,j} a_i$ をどう読むか,つまり掛け算でいいのかな,という不安ですが,アンサーとしては,それでいいです.高校などでも教わった通りかと思います(管理人はそんな記憶).
従ってこちら,まず例えば, $\delta_{1, 1}$ と置きます.この時, $=1$ になるので,(3)の計算としては,
\begin{equation}
\begin{split}
1 * a_i = a_i
\end{split}
\end{equation}
$$
となります.
$\delta_{2, 3}$ の場合は $=0$ になるので,計算としては, $0 * a_i = 0$ ですね.
ここでは,式を展開して計算してみて,定義が本当にそうなのか確かめてみます.意外とここまで早かったかも?
さて,以降は少し具体化した式を使ってみようと思います.というのも,前回記事を思い出していただければわかるかもですが,
\begin{equation}\begin{split}
\sum _{i=k}^{l}{a_i} := {a_k}+{a_{k+1}}+・・・+{a_{l-1}}+{a_l}
\end{split}\end{equation}
$$
このような式がありましたよね.なんで右辺の添字で, $記号 + 1$ とか $記号 – 1$ とかしているかと言えば,さまざまな数列の値の $記号$ への代入を許容するためと推察しますが,わかりづらいです.
というわけで, $\sum^M$ のままでは $\delta_{1,j} a_1 + \delta_{2,j} a_2 + \ldots \delta_{M,j} a_M$ とかいう,考えるときに面倒くさいことになるので,具体的な数字を当て嵌めます.
$M=3$ とする.
これで確かめやすくなるかと思われます.一度計算してみます.
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{i = 1}^3 \delta_{i,j} a_{i} = \delta_{1,j}a_1 + \delta_{2,j}a_2 + \delta_{3,j}a_3
\end{split}
\end{equation}
$$
さて, $\Sigma$ の下をここで見てみると $j$ がありませんね.つまり, $a_j$ の $j$ の値はなんでもいいので,(6)での $j$ に色々当て嵌められるわけです.では,何を当て嵌めようかという話ですが,ここで問題の式を再度確認してみましょう.
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{i = 1}^M \delta_{i,j} a_{i} =
\left\{
\begin{array}{ll}
a_{j} & 1\leq j\leq M\\
0 & j>M
\end{array}
\right.
\end{split}
\end{equation}
$$
この式ではまず, $1\leq j\leq M$ の時右辺が $a_{j}$ になるのでした.また, $j>M$ では右辺が $0$ になります.イメージとしてはこんな感じ.

※ $j = 1, 2, \dots$ にすると,最初の方で定義していましたので, $1$ からはじめています.
図では $i$ の上限 $M$ としているところが,今回は $3$ でした.つまり, $M = 3$ なので, $j = 1, 3, 4$ で確かめてみます.これで, $1\leq j\leq M$ の時と $j>M$ の時について確かめられますね.
では,まずは $j = 1$ からです.
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{1,1}a_1 + \delta_{2,1}a_2 + \delta_{3,1} a_3 &= 1 * a_1 + 0 * a_2 + 0 * a_3\\
&=a_1
\end{split}
\end{equation}
$$
$3$ でどうなるかといいますと,
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{1,3}a_1 + \delta_{2,3}a_2 + \delta_{3,3} a_3 &= 0 * a_1 + 0 * a_2 + 1 * a_3\\
&=a_3
\end{split}
\end{equation}
$$
では,今度は $4$ を当て嵌めてみますと.
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{1,4}a_1 + \delta_{2,4}a_2 + \delta_{3,4} a_3 &= 0 * a_1 + 0 * a_2 + 1 * a_3\\
&= 0
\end{split}
\end{equation}
$$
となります.
$1 \leq j \leq M$ の時(今回は $M=3$ なので, $1 \leq j \leq 3$ ) $a_j$ になっていましたね.例えば, $j = 3$ の時は $a_3$ でした.
逆に, $j>M$ の時,つまり,今回でいうと $j=4$ の時は, $0$ でした.
従って, $1\leq j\leq M$ なら $a_j,$ $j>M$ なら, $0$ と,定義の通りになりましたね.
最初の方,数式をいきなりバーンと出しましたが,そのように定義を言われても理解が難しいですよね(とはいえ,これが一番分かりやすくなるのだろうとは思っている……).数学の定義はそれ自体が独自の読み方を持っているところがある気がしています.個人的なイメージとしては,数学というプログラミング言語があるのではなくて,数学自体がプログラミング言語という概念で,その中に C# とか HTML とか CSS とかの,個別の言語があるという感じです.
そしてやっぱり気になってしまうのが,どうして定義通りになるのか,です.
私の感覚では,計算は実験,言語化は理論化,といったところでしょうか.計算上確からしいことが分かっても,それが何を表現しているのかが分からないと納得できないというか…….麻酔はたくさんの臨床が大丈夫だと言っているのであまり怖くはありませんが,まだ普及して最初のころなら躊躇ってしまうかもしれません.
今回の場合,なんとなくわからないではないのですが…….
もやもやするので考えていこうと思います.
引き続き $M = 3$ で考えましょう.とはいえ,なんとなくで分かってはいるので,以下で早速解説を試してみます.
〇解説
$\sum_{i=1}^3$ とありますね.つまり $i$ は,「 $1 ~ 3$ まで動かして,足し合わせるように」と指示を受けているわけです.なので, $\delta _{i,j}$ の $i$ は,左辺一辺の中で $\delta _{1,j},$ $\delta _{2,j},$ $\delta _{3,j}$ のように変わっていきます.しかし, $j$ は $\Sigma$ からそういう指示を受けていたりするわけではありません.なので, $\delta _{1,1},$ $\delta _{2,1},$ $\delta _{3,1}$ と,一定なのですね.
そうなると,一か所だけ $\delta _{1,1},$ のように $i,j$ が揃うところのできるのが分かります.イメージとしては以下です.

しかし一か所だけですから,一つの $a_i$ しか残らないわけですね.
以上,「3. どうして定義通りになるの?」でした!
ここで少し休憩です.こちらのコーナーについては軽く紹介を.
こちらは広告を $1$ つ程貼り,それについて軽く紹介するコーナーです.数式を読んだり,ご自身なりの考えを深めたりなさっておられれば,気分転換や休息にもなるのではないかという次第です.もちろん,そうでない方もお楽しみください.
それでは,早速紹介です!
※以下,管理人の趣味になりますのでご注意ください!※
※現在準備中! 今しばらくお待ちください.※
テキスト内では,その他に成立する式として,以下が挙げられています.
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{{i,j}=1}^M \delta _{i,j} a_{i,j} = \sum _{i=1}^M a_{i,i}
\end{split}
\end{equation}
$$
左辺は多重和になっていますね.
さて,それでは本当に定義が成り立つのか,確かめてみましょう.
では,まずは具体的に数字を当て嵌めるところからです.ここでは, $M = 3$ としておきます.もっと具体化が必要になるようでしたら,その時にまたやりましょう.
次に計算に入ります.左辺は多重和なので,
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{i = 1}^3 \Bigg(\sum _{j = 1}^3 \delta _{i,j}a_{i,j}\Bigg)
\end{split}
\end{equation}
$$
のように展開します.
更に()の中を展開して,
\begin{equation}
\begin{split}
= \sum _{i = 1}^3 (\delta _{i,1}a_{i,1} + \delta _{i,2}a_{i,2} + \delta _{i,3}a_{i,3})
\end{split}
\end{equation}
$$
となります.ここで, $i$ に $1~3$ まで代入していって足し合わせるので,
\begin{equation}
\begin{split}
& = (\delta _{1,1}a_{1,1} + \delta _{1,2}a_{1,2} + \delta _{1,3}a_{1,3})\\
& + (\delta _{2,1}a_{2,1} + \delta _{2,2}a_{2,2} + \delta _{2,3}a_{2,3})\\
& + (\delta _{3,1}a_{3,1} + \delta _{3,2}a_{3,2} + \delta _{3,3}a_{3,3})
\end{split}
\end{equation}
$$
になります. $\delta$ を解いて,
\begin{equation}
\begin{split}
& = (1 * a_{1,1} + 0 * a_{1,2} + 0 * a_{1,3})\\
& + (0 * a_{2,1} + 1 * a_{2,2} + 0 * a_{2,3})\\
& + (0 * a_{3,1} + 0 * a_{3,2} + 1 * a_{3,3})
\end{split}
\end{equation}
$$
最後に,
$$
\begin{equation}
\begin{split}
= a_{1,1} + a_{2,2} + a_{3,3}
\end{split}
\end{equation}
$$
右辺も解くと,
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\sum _{i=1}^3 a_{i,i} = a_{1,1} + a_{2,2} + a_{3,3}
\end{split}
\end{equation}
$$
です!!
…….つ,疲れた…….主に入力…….(14)なんて,これですからね.
$$
\begin{equation}
\begin{split}
& = (\delta _{1,1}a_{1,1} + \delta _{1,2}a_{1,2} + \delta _{1,3}a_{1,3})\\
& + (\delta _{2,1}a_{2,1} + \delta _{2,2}a_{2,2} + \delta _{2,3}a_{2,3})\\
& + (\delta _{3,1}a_{3,1} + \delta _{3,2}a_{3,2} + \delta _{3,3}a_{3,3})
\end{split}
\end{equation}
$$
※表示バグではございません!※
$\LaTeX$ は疲れるよ!! (便利だけどネ!)
……というわけで,問題の式は正しいことが確認できました.
それにしても,これは一体なにを示しているのでしょうか…….
よく見ると,左辺((12)~(16))と右辺((17))では $a_{1,1}$ などの元々の形,つまり使っていた記号が違いますね.具体的には,左辺は $a_{i,j},$ 右辺は $a_{i,i}$ です.ここから, $i = j$ だと分かります.ということは,問題の数式はクロネッカーのデルタを $1$ にする数式ということか……? これをポイすれば,必ずクロネッカーのデルタが $1$ になるような数式だけを拾ってくるとか? そうだとしたら面白そうですが…….
全く分からん.
さて,今回はクロネッカーのデルタを学習しました. $i, j$ それぞれを正の自然数 $1, 2, \dots$ とした時の定義はこちら.
\begin{equation}
\begin{split}
\delta_{i,j}=
\left\{
\begin{array}{ll}
1 & i=j \\
0 & i \neq j
\end{array}
\right.
\end{split}
\end{equation}
$$
……これくらいしかまとめることないです.今回はクロネッカーのデルタを使った数式を確かめてばかりでした.
(「今回は短くなるかも」とか言っておいて,実は前回より長いのでは……?)
そのくせ何に役立つのか,答えを得られないままです.
なので,とにかく今は,「クロネッカーのデルタは $1$ か $0$ を導出する」ということだけ覚えておきます.
とはいえ,今回も楽しくはありました! 皆さんはいかがでしたか? 楽しめていただけていましたら嬉しいです.
それでは,今回はここまでです! お疲れ様でした!!
【出典】
メインテキスト:
田崎晴明『数学 ―物理を学び楽しむために―』暫定版(2026年3月)https://haltasaki.github.io/books/math/
その他:
※情報の正確性には細心の注意を払っておりますが,間違いが含まれる可能性があります.管理人については,「勉強を教えてくれる「頭のいい」友達」くらいに思っていてくださいませ.
何卒宜しくお願いします.
